「イントゥ・ザ・ワイルド」

「イントゥ・ザ・ワイルド」
監督   ショーン・ペン
出演   エミール・ハーシュ   


自分のもてる可能性を試してみたい!
人生を模索する青年は、単身アラスカをめざした。

 実話に基づくこの物語は、悲劇的な結末を迎えるが、その真の意味は何だったのだろうか。

 裕福な家庭に育ち将来有望な青年クリスだったが、大学卒業と同時に、車に貯金、IDカードや本名まで捨て、自分探しの旅にでる。

 ソローの著書 「森の生活」 を愛読する彼にとって、物質文明や親の敷いたレールの上を平凡に生きることはナンセンスに思えたのだろう。

 大自然の中に身をおき、孤独な自給自足の生活に耐えてこそ、見えてくる人生の真理があるのではないか。 
そう信じて旅立ったクリスは、禁欲的な修行僧のようにも見える。

 旅先で出会ったヒッピーや農場主、一人暮らしの老人らは、皆マイペースで生きている心優しい人達ばかり。 

 希望に胸膨らませる青年の目には、旅のどんな景色も、さぞかし新鮮で感動的に映ったにちがいない。
カメラは、そんな彼のみずみずしい感性を余すところなくすくいとり、自然の雄大な美を堪能させてくれる。

 しかし、最終目的地アラスカの自然は、クリスには苛酷すぎたようだ。

 生と死の境をさまよう健気な魂をカメラは執拗に追い、その壮絶な生き様を私たちの目の前に突きつけてくる。

 “Happiness is only real when shared” 
彼が荒野で悟った言葉だ。

 不仲な両親への失望感、子供の気持ちを無視する傲慢な父親に対する嫌悪感。
彼を旅に駆り立てたこうした両親との確執は、いつしか愛と感謝の気持ちに変っていた。

 死を前にして、家族をそして人生を心から愛することができた彼は、この旅を後悔していないだろう。 むしろ、成功だったと満足して死んで逝ったようにも思える。

 しかしながら、幸福を家族と分かち合いたいと願っていた彼にとって、この早すぎる死はやはり無念だったこともまちがいないだろう。

 人生はその長さではなく、後悔しない生き方にこそ意味があるという。
 クリスが命がけで得たものこそ、私たちが一生かけて追い求める愛と幸福だったのではないだろうか。



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  • 映画「イントゥ・ザ・ワイルド」

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