「恋愛小説家」



「恋愛小説家」  監督 ジェームズ・L・ブルックス  出演 ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント

 マンションのエレベーターホールで小便しかける仔犬をつまみ上げ忌々しそうにダストシュートに投げ込む初老の男性メルビン。

誰彼かまわず毒舌を吐き、そこいら中に険悪な空気を撒き散らしてはばからない困ったヤツだ。

 同性愛者の隣人にはあからさまにホモ嫌いを公言する。人種差別用語もお構いなし、その傍若無人さには全くあきれる。

 さらに悪いことに、彼は強迫神経症だ。無意味な手洗いを繰り返しては、新しい石鹸と取り替える。外出時には必ず手袋をはめ、素手で物に触れようとしない。レストランでも自分専用のプラスティック製スプーンとフォークを持参するこだわりようだ。

 そんな孤独な人物の心の揺れを、ジャック・ニコルソンが巧みな演技でユーモラスに表現する。

 こんな男が恋愛に目覚めるとどうなってしまうのか。

 「君に出会って、もう少し良い人間になりたいと思った。」  なんて、偏屈な彼をしてこんな台詞をはかせる恋は魔物だ。

 お相手は、行きつけのカフェでウエイトレスをしているシングルマザーのキャロル。
彼女は悪態をつく彼にも、持ち前の明るさと鷹揚さで気さくに給仕していた。

 ところが、突然彼女は店を辞める。困った彼は、彼女を職場復帰させようと、喘息もちの彼女の息子に専用ホームドクターを派遣してあげる。

この一件で彼への好感度は一気に増すのだが、なにぶんいつもの悪癖が災いして、もう一歩というところで恋のチャンスをとり逃がしてしまう彼。

皮肉男が、みるみる愛すべきキャラに変わっていくあたりが見ものだ。

 毛嫌いしていた隣人の仔犬を、渋々預かって世話をしているうちに、なついてくる犬にいつの間にか情が移っていく彼。かたくなだった彼に小さな変化が見え始める。
 
好きな女に気に入られようと、不器用ながらも自分の欠点と向き合い努力している姿も、微笑ましい。

 付き合ってみれば案外良いヤツだと気づかされる事って多いもの。
互いに歩み寄り、理解しあうところから恋愛は始まるということか。

 小説家メルビンの書き上げた恋愛小説は、オヤジっぽいどころかとってもユーモラスであたたかい純愛小説だった。
 



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