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zoom RSS 「つぐない」

<<   作成日時 : 2009/08/06 15:36   >>

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「つぐない」
監督   ジョー・ライト
出演   キーラ・ナイトレイ   ジェイムズ・マカヴォイ  シーアシャ・ローナン  


 
  姉の恋人への嫉妬心からある嘘をついてしまった女性の懺悔と 「つぐない」 の物語。

 結ばれるはずだった恋人の運命は、13歳の少女ブライオニーの嘘によって理不尽に引き裂かれ、折からの戦争が重なって、二人の運命はもはや取り返しのつかない悲劇を迎えることになった。

 ブライオニーの罪はけっして許されるものではないが、それ以上に罪深いものは、人々から全ての可能性を奪い去る戦争だということに気がつく。

 なかでも青年ロビーの人生は、ほんとうに過酷で報われなかったように思う。
ブライオニーの嘘の証言から、身に覚えのないレイプ魔として逮捕された彼は、その後兵士になり出兵先で命を落とす。

愛するセシーリアと再会したい。
死の直前まで彼女を愛し、希望を失わなかったロビー。
彼の健気な生き様は、見るに堪えないほど辛いものだったが、その純愛の美しさには胸を打たれた。

また、不憫な彼をいたわってくれる母の夢をみるシーンも切ない。
身分による差別や偏見が色濃く残っていた当時のイギリス。 ブライオニー家の使用人だった母と息子ロビーは、この忌まわしい冤罪を晴らすことすら許されず、どんなにか悔しい思いをしたことだろう。

 いっぽうセシーリアも、彼との再会を待ちわびながら、ついにその夢を叶えることなく不慮の事故で亡くなった。

 せめて、二人が再会し新たな人生をスタートすることができたなら、そして罪深いブライオニーに思いのたけをぶちまけてくれたなら、あるいは罪の意識も少しは和らいだかもしれない。
そうなってくれることを心から願っていたブライオニーにとって、現実はあまりにも非情だった。
ブライオニーもまた、戦争の犠牲者の一人といっていいのかもしれない。

13歳の多感な少女が、なぜ嘘をついてしまったのか。
少女の心の動きをていねいに追う緊張感あふれる演出は、とても見事で引き込まれた。

 なかでも、ロビーが書いたセシーリア宛ての手紙の中にある卑猥な単語をみつけたブライオニーの激しく動揺する姿など、繊細で息をのむ演技には感動した。
淡い恋心を抱いていたロビーへの失望と嫉妬、それに性的な嫌悪感が加わり、潔癖な少女の心によからぬ妄想を生んでしまった経緯が逐一手に取るようにわかる。

 その後、罪を認め、負傷兵の看護に尽力するなど、ブライオニーは自ら犯した罪と罰を素直に受け入れ、つぐないの半生を送ってきたことを告白する。

 自分の罪をことさら責めさいなむ生き方は、少女の頃の潔癖さそのままで、なんともいたたまれない。

 しかし、罪をつぐない許しを請うということは、それほど容易いことではないということだろう。 
深い哀しみのあとに甦ってくる三者三様の愛の形は、どれも純粋で美しく強く心を揺さぶられた。





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「つぐない」
第1作「プライドと偏見」(2005年)で世界の注目を集めた英国若手監督ジョー・ライト(1972年〜)が07年、2作目としてイアン・マキューアンの小説「贖罪(しょくざい)」を映画化した大河ロマンス「つぐない」(英、123分、ユニバーサル映画配給)。この映画は1930年代の英国を舞台に、2人の女性と1人の男性の関係を中心に描き、一生かけても償(つぐな)うことのできない罪と、そうした状況の中での純愛を表した。また、映像表現や効果音の使い方などが特徴となっている。07年度のゴールデングローブ作品賞... ...続きを見る
シネマ・ワンダーランド
2009/08/06 22:26
『つぐない』を観たぞ〜!
『つぐない』を観ました英国を代表する作家の一人、イアン・マキューアンの傑作『贖罪』を、「プライドと偏見」のジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ主演で映画化した衝撃と感動の大河ロマンスです>>『つぐない』関連原題: ATONEMENTジャンル:ドラマ/戦争/ロマン... ...続きを見る
おきらく楽天 映画生活
2009/08/06 22:50
【DVD】つぐない
▼状況 レンタルDVDにて ▼動機 劇場鑑賞時に発作発生 ▼感想 事実を伝えることが本当のつぐない ▼満足度 ★★★★★☆☆ なかなか ...続きを見る
新!やさぐれ日記
2009/08/07 08:26
mini review 09355「つぐない」★★★★★★★★☆☆
ブッカー賞作家イアン・マキューアンのベストセラー小説を、『プライドと偏見』のジョー・ライト監督が映画化。幼く多感な少女のうそによって引き裂かれた男女が運命の波に翻弄(ほんろう)される姿と、うそをついた罪の重さを背負って生きる少女の姿が描かれる。運命に翻弄(ほんろう)される男女を演じるのはキーラ・ナイトレイと『ラストキング・オブ・スコットランド』のジェームズ・マカヴォイ。映像化は困難と言われた複雑な物語を緻密(ちみつ)な構成でスクリーンに焼きつけた監督の手腕に注目。[もっと詳しく] ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとう。
原作もとても純度が高いですけれど、この映画も完成度が高いですね。
少女の「純潔」「潔癖さ」は、逆に観念的妄想を生む土壌になるとも思います。
kimion20002000
2009/08/08 00:11
コメントありがとうございます(*^_^*)
自信家で気位の高い女性が、まさかこんな愚かな間違いを犯してしまうとは、ほんとに衝撃的なラストでした。
当時の時代背景から、登場人物の心理の細部まで、ひしひしと伝わってくる演出もとても見事だったと思います。
つばめ
2009/08/08 09:35

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