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zoom RSS 「人間の関係」

<<   作成日時 : 2009/06/18 20:48   >>

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「人間の関係」     五木寛之 著   <ポプラ文庫>

 
 不景気による失業率増加は、人々の暮しに大きな不安を与え、世の中に鬱な気分を蔓延させているように感じる。
 多くの人々が少なからず感じている鬱。
その中には、「憂」と「愁」の二つの感情が内在し、鬱状態とは、エネルギーが出口を失い圧迫されている状態だと著者は語る。

 それでは、この鬱と私たちはどう向き合って生きていけばいいのだろうか。

 さっそく、その具体策として著者は、三冊のノートを薦める。
年齢に応じて悩みが異なることから、「歓びノート」、「悲しみノート」、そして人生最終章には、 「あんがとノート」 が有効だと、著者自ら試行錯誤をくり返した体験談を交えながら語る。

 その口調は、りっぱな哲学者然としたものではなく、むしろ自ら腹を割って、読者と向きあおうとする熱意のようなものが感じられる。
まるで五木さんが傍らに座って、静かに話しかけてくださっているのではと錯覚してしまいそうなほど親しみやすい。
そして、一ページづつ読みすすむほどに、心はたしかに癒されていくこともたしかだ。

 内容はべつだん目新しいものではないと思う。
しかし、著者の長い人生経験から導き出された言葉の数々は、強い説得力があり、仏教に根ざした慈悲の哲学は、静けさのなかに情熱を秘め、ぐいぐい読者を引きつける。

 自己嫌悪と人間不信から、人生を生きずらいものだと感じている人たちに向けて、著者はその答えを、「人間」ではなく、「人間の関係」のなかに見出そうとする。

 たとえば、長年連れ添った夫婦は「思い出」という絆で結ばれている。
夫婦が、恋愛感情を離れ、深い理解と静かな愛情によって互いに成長していくならば、その関係は、永続的なものになっていくだろうと。
長い御自身の結婚生活から導き出された言葉は、実感をともなって重く心に響いてくる。

 すべてが日々移ろいやすく、変化していくものだとしみじみ感じる今日この頃。
人生後半戦ともなると、限られた時間をどう過ごすべきなのか、ふと不安にかられることも多い。
 
 ほんの5パーセントでも信じられるものがあるとするならば、そこに小さな光を見つけ歓びを感じて私たちは生きていくことができる。  
しかも、それは、日常の 「人間の関係」 の中で見出していくほかないのだと著者は言う。
 
 本を閉じる頃には、なんともいえない安堵感と、静かな勇気がふつふつと湧いてくるのを実感する。
とりあえず、 「あんがとノート」 を書くところから始めようと思った。


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