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zoom RSS 「おくりびと」

<<   作成日時 : 2009/03/19 08:46   >>

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「おくりびと」
監督   滝田洋二郎
脚本   小山薫堂
音楽   久石譲
出演   本木雅弘   広末涼子   山崎努  笹野高史


 念願のチェロ奏者になったのもつかの間、オーケストラの解散で大悟は突然職を失う。
 傷心ふるさと山形に帰って再就職した先は、葬儀屋の ”納棺師” という仕事だった。

 日頃目にすることのない葬儀の現場。 
 風変わりな社長に振り回される滑稽な二枚目ぶりは、とてもユーモラスで大爆笑だった。

 とはいえ、世間の目は彼らにまだまだ冷たい。
仕事に後ろめたいものを感じながらも、金のため働かざるをえない彼。

 そんな夫に、”穢らわしい。 触らないで!”  と吐き捨てた妻の屈辱的な一言は、どれほど彼を傷つけたことか。

 しかし、厳かで美しい作法に込められた納棺師ならではの死生観を知るにつけ、大悟はしだいに仕事に誇りとやりがいを見出していく。

 納棺の儀式は故人の尊厳をうやまうだけでなく、身内の死に大きなショックを受けている遺族をいたわる懐の深さもみせてくれる。
なぜなら、人の死を終わりではなく、新たな旅立ちととらえ、その門出を遺族とともに暖かく見送ってあげたいというのが、納棺師の願いだからだ。

 社長によれば、食べ物だってりっぱなご遺体だという。
食べることで、人間は生きている。
自然の恵みを美味しくいただき、それを糧に生きていくことが、自然界への感謝であり、つまり自然の摂理にかなっているということだ。

 美味しそうなふぐの白子焼きにかぶりついた瞬間、仕事への迷いがいっぺんに吹き飛んだ大悟。
無邪気に喜びを噛みしめる両者の息の合った演技も、まさに絶品だった。

  食べるなら、美味しいものを!   生きるなら、楽しく!
味わい深いメッセージを、愉快に伝えてくれるのもこの映画の魅力だ。

 折にふれ、くじけそうになる彼を優しく癒し、支え続けてきたものは大好きなチェロ。
そのチェロのケースには、もう一つ大切なものが入っていた。
かつて父にもらった石文だ。

 30年前、父は家族を捨て家を出て行った。
もちろん、そんな父を彼は許すことなどできない。
しかし、その石文を触ると不思議なことに、消えかけていた父の面影が蘇ってくる。 
そして、ごつごつとした石の感触や、そこに秘かに込められている父の思いに心をめぐらせると、なぜだか自然に心が癒されていくのだった。

 そしてラスト。 幼い大悟が父に手渡した石文は、思いもよらない形で父子を引き合わせ、長年のわだかまりを一気に解き放ってくれる。
 
30年間生き別れになっていた父は、人知れず大悟を想い見守りつづけていたのだろう。
伝えたくても伝えることの叶わなかった父の切ない気持ちと愛情が、この石文にはぎっしり詰まっている。
 
 父に愛された石文は、やがて生まれてくる大悟の赤ん坊へと受け継がれていく。

 言葉によらないで、思いを伝え合うという原始的な石文が、これほど饒舌に亡き父の思いを伝えていることに驚いた。
親子の絆、ことに親の子を思う気持ちは、まさに言葉に尽くせないくらい強いものだろう。

 私は、どんな石文を受け取り、またどんな石文を次の世代に送ることができるだろう。
しばし、胸に手を当てて、思いをめぐらせてみたくなる。

 自然界に生まれ、そしてまた新たな旅立ちをしていく全てのものに、感謝と敬意をもって生きていくことが、私たち生きている者のつとめなのではないだろうか。

 黒いエンドロールの中で、いつ終わるとも知れない納棺の儀式を丁寧に、そして誇らしげに演じている大悟の姿を見てそう思った。



   

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タイトル (本文) ブログ名/日時
おくりびと
いのち芽吹く物語。   ...続きを見る
Akira's VOICE
2009/03/19 17:19
いってらっしゃい
最盛期が嘘だったかのように一時期はその消息がつかめなかった広末涼子だが、最近はドラマに映画にCMにと、活動の場を広く求めているようだ。女性は離婚後に仕事に走ると島田紳助が云っていたなあ。「おくりびと」を試写会で観た。 ...続きを見る
MESCALINE DRIVE
2009/08/31 22:45

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