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zoom RSS 「至福のとき」

<<   作成日時 : 2008/03/19 09:50   >>

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「至福のとき」
監督  チャン・イーモウ
出演  チャオ・ベンシャン  ドン・ジエ  フー・ピアオ


 「初恋のきた道」で紹介されていた美しい結婚の理想像とはおよそかけ離れた、貧しい人々の厳しい結婚事情がありありと描かれている映画だ。

 風采の上がらない中年男チャオは、リストラにあい失業中だったが、19回目のお見合いをなんとしても実らせたいばっかりに、”至福旅館”の社長だと嘘をついてしまう。
嘘の上塗りを重ねるうち、事態はのっぴきならない方向に。
急場凌ぎに奔走する彼の滑稽な演技もなかなか見ものだ。

 見合い相手から、盲目の継子 ウー・インを彼の旅館のマッサージ師として雇って欲しいと頼まれる。
少女が盲目なのをいいことに、彼は倒産した工場の中に偽のマッサージ室をこしらえ、リストラ仲間に教授や店長を演じさせ、客として彼女のマッサージ室に通ってもらうことにした。

 彼女の施すとろけるような至福のマッサージに気をよくした仲間たちは、彼女を大切に思い、親身になって行く末を心配するようになる。

 彼女も、面倒を見てくれ、マッサージの腕を認めてくれるチャオに、心を開き、明るい笑顔を見せるようになる。
そして、チャオの顔をいっぺん見てみたいと、嬉しそうに彼の頭や身体を撫で回す。そんな彼女に照れくさそうに応えているチャオ。
まるで、親子のような二人。
このシーンこそ、至福の光景のように私には思えた。

 金だけが目当ての見合い相手は、チャオに隠れて、別の金持ちの男と結婚準備を進めていた。 そして現れた彼に向かって ”詐欺師!” と容赦ない罵声を浴びせる。

 自業自得とはいえ、さすがの彼もへこむ。
結婚したいあまりに、嘘をつき、不釣合いな相手に執着して、墓穴を掘ってしまったのだ。

 だが、そんな彼だって捨てたもんじゃない。 
偽旅館、偽札、何もかも、金のない男がでっち上げた苦肉の策?空しい嘘だったが、ウー・インに見せた優しさだけは、本物だった。
 
 実母は病死、父親は家出中、そのうえ冷たい継母には家を追い出され、行き場を失った彼女は自殺しようとしていた。そんな彼女に手を差し伸べたのがチャオだ。
彼女への嘘は、みんな彼女への思いやりから生まれたものばかりだ。
 
 そんな嘘を見抜いていた彼女だったが、皆に甘えられる ”至福の時間” がなにより嬉しく、わざと騙され続けていたようだ。

 やがて彼女も、小さな勇気を振り絞り、一人で生きていく決心をした。
 愛用のテープレコーダーに彼らへの感謝の言葉だけを残して。

 それと重なるように、チャオの事故死の知らせが飛び込む。
彼のポケットにはウー宛の一通の手紙が残されていた。

 父親のかけてくれた優しい言葉だけが生きがいと言う彼女のために、父に代わってチャオが書きあげた手紙だ。
娘の将来を心配しているが、どうか希望を持って強く生きていって欲しいと熱い口調で訴える文面は、もはや、本物の父を凌ぐ圧倒的な愛情を感じる。
 
 打算的な嘘に身を滅ぼしてしまった愚かなチャオ。
優しいチャオの存在は、ウーの心の中で今も明るく生き続けていると信じたい。

 真っ黒に変わったエンドロールの向こうに、微かに白杖の音が響く。
暗がりを手探りで歩く健気で頼りないその音に、思わず祈ってしまった。
 ”どうか、彼女に至福のときを与えてやって下さい!” 



    

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