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zoom RSS 「パラダイス・ナウ」

<<   作成日時 : 2008/03/07 16:56   >>

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「パラダイス・ナウ」
監督  ハニ・アブ・アサド
出演  カイス・ネシフ  アリ・スリマン  ルブナ・アザバル  アメル・レヘル


 この映画は、占領下のパレスチナ人社会の素顔をさらし、自爆攻撃を行う若者の葛藤を描くことによって、苦悩するパレスチナの現状を浮き彫りにする。

 イスラエルの占領地 ヨルダン川西岸地区 ナブルスに住む二人の平凡なパレスチナ人青年のところに突然、地下組織から自爆攻撃の命令が下る。
ハーレドは、殉教することによって英雄になれることを喜ぶ。 
サイードは、密告者の息子という汚名を晴らすため任務を受け入れる。

「平等に生きられなくとも、平等に死ぬことは出来る。」
「死を恐れる者は、すでに死んでいる。恐れのない者に真に安らかな死が訪れる。」

地下組織のリーダーは、二人の従順な若者にそう告げて、自爆行為を讃えた。

 体毛を剃られ、自分で外せない爆弾を胴体に巻きつけられた二人は、真新しい黒の背広を着せられ、一人前の自爆攻撃者に仕立て上げられる。
息を殺すように粛々と進めらる儀式の一部始終は、一切の迷いを許さない神聖な力に支配されているかに見える。
だが、その仮面の裏の狂気に気付く者には、恐るべき悪魔の儀式の真相が見えてくる。

 侵入開始直後にアクシデントが発生し、サイードは仲間からはぐれてしまう。
爆弾を身に着けたまま彼は、ひとりイスラエルの街をさまよい歩く。貧しいパレスチナとは比べものにならない、そのモダンで華やかな賑わいを見せるイスラエルの街、そこに住む人々の楽しげな笑い声に、彼の孤独と絶望感はいっそう深まっていく。

 行方不明になったサイードに疑いをもった地下組織は、アジトを移し、行方をくらます。

 女友達 スーハ(フランス帰りのパレスチナ人)は、ハーレドに自爆攻撃を思い止まるよう説得する。
自爆攻撃の無意味さ、殉死した後英雄となった父親には、生きてそばにいて欲しいと本音をぶちまける彼女に、やむなく任務を断念するハーレド。

 だが、サイードは友人の制止を振り切って、バスに乗り込んで行った。 たくさんのイスラエル人兵士たちを乗せたバスの座席にすわり、彼はついにパラダスを目指す。

 ラストに広がる、白々とぼやけた無味乾燥な空間と無音の世界。 彼が夢見たパラダイスの実像と重なりなんとも空しい余韻だけが残った。

 自爆攻撃は、大量の死者と不幸を生み出す無益な行為だ。それは新たな報復攻撃となって、パレスチナ人をさらに苦しめる引き金にもなっている。この不幸な武力の連鎖を断ち切らなくてはならない。

 私たちは、彼らの行為を無責任に非難するだけでなく、この現状を理解し、平和的解決の道筋を彼らと一緒に模索していくべきだと感じた。
第二、第三のサイードを、どうか出さないで欲しいと心から願っている。

 

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タイトル (本文) ブログ名/日時
mini review 08289「パラダイス・ナウ」★★★★★★☆☆☆☆
イスラエル占領下の町ナブルスを舞台に、自爆攻撃に向かう二人のパレスチナ人青年の苦悩と葛藤(かっとう)を描いた問題作。第78回アカデミー賞では、自爆攻撃の犠牲者遺族が外国語映画部門ノミネートから外すよう抗議があったなど、世界各国で上映され論争を引き起こした。監督はパレスチナ人のハニ・アブ・アサド、製作陣の一人にイスラエル人のアミール・ハレル。占領により国家として、人としての尊厳を奪われたパレスチナの現実に胸が痛む。[もっと詳しく] ...続きを見る
サーカスな日々
2008/04/20 18:49

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとう。
爆弾を身につけたまま、街を彷徨するサイードの孤独が、胸を打ちます。
kimion20002000
2008/04/22 20:20
kimion20002000 さん、
コメントありがとうございます。
遥かパレスチナに住む見ず知らずの青年のことが、とっても身近に、愛おしく思えてくる映画でした。
つばめ
2008/04/23 17:29

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